現金払いから脱せない。日本のキャッシュレス化が進まない原因は銀行だった?

現金払いから脱せない。日本のキャッシュレス化が進まない原因は銀行だった?

目次

今回は東洋経済ONLINEの記事を参考に、日本で様々な消費行動のキャッシュレス化が進まない理由をまとめたいと思います。

日本のキャッシュレス化の足かせとなっている最大の原因は何だと思いますか?

日本人が現金が好きだから?クレジットカードへの不信感?

この記事ではその原因を「日本の銀行の収入基盤」に焦点を当てています。

日本の銀行の収入基盤、それは「ATM利用時の手数料収入」です。

景気は好調、でも進まないキャッシュレス化

日本銀行が発表した最新の統計では、2017年の日本の電子マネーによる決済金額が5兆1994億円でした。これは前年1.1%しか増加しておらず、社外国との成長比率と比べると非常に小さいものになっています。

この集計は開始から9年続いており、数値自体は毎年伸びています。しかし、2016年〜2017年はほぼ横ばいで成長ま見られていません。

日本の現金流通量は世界TOPクラスの20%、一方スウェーデンは2%

世界のキャッシュレス化の情勢とは裏腹に、日本の現金の流通量は増加しています。 2017年に日本銀行が発表したデータでは、紙幣や小銭を合計した現金流通高に対する名目GDP(国内総生産)比率では19.4%に達しており、日本の名目GDPは550兆円と考えると、110兆円ぐらいの現金が流通していることになります。

これを他の先進国と比較してみると、ユーロ圏では10.6%、米国は7.9%、英国に至っては3.7%程度です。 これは日本においてクレジットカードや小切手、プリペイドカード、電子マネーといった「キャッシュレス決済」が浸透していないことと同義です。

特にキャッシュレス化が顕著なスウェーデンでは、キャッシュ比率はわずか2%。 これはもはや現金による買い物などが日常的に存在しないレベルです。

スウェーデンがほぼ完璧に近いキャッシュレス化を実現している背景には、銀行が連合を組んで構築したモバイル決済サービス「スウィッシュ」の恩恵が大きいと思われます。これは銀行口座と携帯電話の番号だけで個人認証をする技術が使われており、また送金も相手の電話番号を入力するのみで完了するなど、効率的な口座管理とともにキャッシュレス取引を効率的に行えるよう工夫がなされているのです。

キャッシュレス先進国の中国もすごい

中国にはアリババの「Alipay」、テンセントの「WeChat Pay(ウィチャットペイ)」が「QRコード」を使った決済システムを展開しており、急速にそのユーザー数を増やしています。

中国のスマホ人口は7億人とも言われ、その普及率は都市部では100%に近いものです。 誰もが保有しているスマホだからこそ、キャッシュレス化が急速に普及したと考えられます。

キャッシュレス化の恩恵はビジネスの効率化だけじゃない

キャッシュレス化が進めば何が起きるでしょうか?

銀行のATMは不要、コンビニのATMも不要。銀行も小売店も、店舗の中に巨大な金庫が必要がなくなり、セキュリティーも高まるでしょう。 また米国の経済学者は現金が地下経済(不法な経済活動)の決済手段としても機能しており、地下経済増殖の元凶になっているとしています。

また、世界的には現金の流通が増えることが貧困の増加と関係しており、格差社会の進行に拍車をかけている存在として、高額紙幣の廃止をすすめています。 インドでは、電子決済を普及させることで当初は混乱があったものの、普及を飛躍的に増やすことに成功し、地下経済の封じ込めにも一役買ったとのことです。

さらに、注目したいのは現金を製造する必要がなくなることです。 日本の1万円紙幣は1枚を印刷するのに22円、硬貨にしても、額面の10%~20%の製造コストがかかっています。 また特に硬貨が重量があるため、その輸送コストもばかにならないでしょう。

ATM手数料収入という呪縛から脱せない日本の銀行

先述の通り、世界ではキャッシュレス化、脱現金主義の流れが急激に進んでおり、ビジネスの観点からもこの流れは歓迎されるべきものです。

では、なぜ日本ではキャッシュレス化が遅れているのか。

それは、既存の銀行の経営基盤がATM(現金 自動預け払い機)の利用手数料に依存しているからです。

普段あまり気に留めないかもしれませんが、街を歩く時に少し気に掛けてみると、自分のまわりに数多くのATMが存在することに気づくでしょう。 コンビニはもちろん、スーパー、駅、病院、ありとあらゆる場所にATMがありますね。

地方銀行の平均的な純利益の額は約147億円(2016年3月期)ですが、その約13%はATM手数料です。 ATM手数料だけで利益を稼いでいるセブン銀行では、純利益261億円のうちの99%をATM手数料で稼いでいます。

現金払いを優遇する小売店?

CASHLESSとしては、上述の銀行の既得権がもたらす弊害はもちろんですが、やはり消費者が直に取引をする小売店にも多少の問題もあると見ています。

それは、小売店も現金払いを推奨するきらいがあるということ。

現金払いの場合は○%OFF!なんて標語、見たことありませんか?

もちろん、これはクレジットカードや電子マネー払い時の加盟店の手数料が高額な事、端末の導入や従業員への教育が必要な事、はたまた売上の入金が遅い事など、様々な原因があるでしょう。

ですが、キャッシュレス決済と真逆をいくこうした流れには、若干の危惧があるのも事実です。

官民、銀行、すべてのプレーヤーが協力を

時代の潮流は確実にキャシュレスであり、日本のビジネスを加速させるキーにもなるはずです。

景気の根本を左右する銀行が二の足を踏んでいては、この流れから確実に置いていかれてしまうでしょう。

お役所もこの事実を認め、抜本的な改革を早く打ち出して欲しいものです。

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